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坑内は頭のなかだ
ジェフリー・フォード『
白い果実』
好意が観測され、世界はかくあるべしと規定され、彼女の物語が始まる。
ZENさんによる「リトルバスターズ!EX」コミカライズ第三弾『二木佳奈多~My Minroud~』が
電撃G's Festival! COMIC Vol.18で始まった。
沙耶ルートも佐々美ルートも未プレイなので、雑誌も単行本も買いつつも鉄の意志で表紙を眺めるだけに留めていたが、ついにリアルタイムで読めるのである。ひゃっほう。
サブタイトル「Minroud」はミヒャエル・エンデ『
はてしない物語』に出てくるミンロウド坑で、「リトルバスターズ!EX」内でも葉留佳が口にしている。
また、佳奈多が、やはり同作から「イスカールナリ」を引用している箇所も作中に登場する。
別のキャラクタに同一の本から引用させる手法は
ヴセ・ノルマルノにも見られた。
これには、二人が同じ本を読んでいたことを暗示させる効果がある。
佳奈多とクドリャフカは同じ本を読み、冗談めかして引用するじゃれあいをしているが、佳奈多が優しいのは
あの子の代わりのつもり
である。佳奈多の本当の願いは、昔していたように同じ本を葉留佳と一緒に読み、語り合うことではないか、という妄想を抱いてしまう。
さて、『はてしない物語』では、人間が一度見て忘れた夢は層となり積み重なっていく。
ミンロウド坑とは、このような夢の採掘場である。
佳奈多は「良い坑夫見習い」として、自分自身の記憶と折り合いを付けられるか。
そして、「愛することができるようになり」、ファンタージエンとしての虚構世界を抜け出せるか。
これらが佳奈多ルートの主題だろう。
ところで、『はてしない物語』は「物語はどのようなものか」について語ってくれる。
作中、要所要所で「別の物語」「別のときにはなすことにしよう」との表現が繰り返される。
物語は別の物語を生みだす力を持っているのだ。
こうして
その一つ一つからまた新しい物語ができてくる
ことが、はてしなさの所以である。
あらゆる物語が「はてしない物語」であり得る。
というのも、物語内の各要素が新たな物語の起点となり得るからである。
そして、新たな物語を語る役目を担うのは元の語り部でなく聴衆である。
聴衆の解釈が聴衆自身の内に新たな物語を生みだす。
城桐さんによって語られた佳奈多の物語は、ZENさんによって解釈され、新たな物語となろうとしている。
どのように語られるのか、楽しみでならない。
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- 2011/06/26(日) 22:21:59|
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